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引張破断試験

ロープに結び目を作ると、そこで一定量の強度が失われるといわれています。

それも結びの種類によって強度が異なるといわれています。

結びを作った後のロープの残存強度は、ダブルフィギュアエイトノットオンアバイトは70%、アルパインバタフライノットは45%というデータをなんとなく「そんなもんかなぁ」と思っていました。

確かめました。

ワイヤープラーで張力を発生させ、ロックエグゾチカの張力計で計測しました。
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意外な結果が出ました。

なんと、アルパインバタフライノットはダブルフィギュアエイトノットオンアバイトよりも強い。
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ダブルフィッシャーマンズベンドはトリプルフィギュアエイトリトレースベンドよりも強い。
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オーバーハンドリトレースベンドはフィギュアエイトリトレースベンドよりも強い。
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一部例外はあるものの、総じてオーバーハンド群の結びはフィギュアエイト群の結びよりも強い。

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原因は、

1.荷重ロープ屈曲部の曲率

2.結び内部への力の流動度

と考えます。

ロープ屈曲部が抱くロープの数が多いほど曲率が下がり、強度が出る。

ダブルフィギュアエイトノットオンアバイトの屈曲部が抱くロープは2本、アルパインバタフライノットの屈曲部が抱くロープは3本なのでアルパインバタフライノットの方が強度が大きい。


フィギュアエイトリトレースベンドはオーバーハンドリトレースベンドに比べて屈曲部後方の摩擦面積が大きいので、屈曲部に応力が集中するように思います。

なので、引張応力の大部分が後方に流動するテンションレスヒッチが最大の強度が出ることが理解できます。

今回の試験で、常識と思っていたことがくつがえり、目から鱗が落ちました。

「偉い人が言ってた」とか「有名な本に載ってた」はエビデンスにはならないことを改めて認識しました。

たとえ強度が低くても、ほかのメリットがあれば採用の要件になろうかと思います。

フィギュアエイト群はオーバーハンド群に比べて、荷重後解きやすいメリットがあります。

強度と、解きやすさやロープ消費量などの条件を天秤にかけて、支払うリスクと受け取るメリットのバランスを考えて採用するべき結びを、「自分で」選ぶべきと考えます。
2022/02/19 9:01 Update

チロリアンブリッジ試験

橋によってはトラバース用に使える支点が全くなく、アンカーも打てないという場合があります。

そんな場合はしかたなく一径間をチロリアンブリッジで飛ばすこともあります。

ロープ一本で張り込むと、運用荷重がすべて一本のロープの伸びに使われてしまうので、ロープの伸びが大きくなります。

それは、チロリアンブリッジ中央部で非運用時のチロリアンブリッジからの下がり幅に反映されてしまいます。

つまり床版底面から離れてしまい手が届かなくなる、ということになります。

それを解消するためには、ロープ一本当たりの運用荷重を減らしてやればよいので、複数本のチロリアンブリッジを併用します。

現場では本能的に採用していましたが、定量的なデータを取っていなかったので今回計測してみました。

胸高幹系60僂曚匹領派な杉林で。

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谷地形を選んで張り込みましたが、ロープ一本では足が地面につきます。

チロリアンの本数を増やすにしたがって下がり幅が小さくなります。

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計測実験の条件と結果は以下です。

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20m飛ばして、ロープ1本では2m下がっていたのが、4本で張ると下がり幅は1mに押さえることができます。

これでチロリアンにアブミをかけて立ち込むと、上半身はチロリアン上に持ち上げることができるので床版底面に手が届くということになります。
2016/10/24 13:37 Update